ビッグ・バンドで辿るジャズの歴史(戦前編)

【講師】 柴田 浩一さん
横濱JAZZプロムナード、プロデューサー。
現在、NHK横浜放送局(81.9MHz)にて、毎週水曜日のジャズ番組「FMサウンド☆クルーズ/よこはま発JAZZクルージング」を担当。2011年、NHK関東甲信越地域放送文化賞を受賞。 著書「デューク・エリントン」(愛育社)。

第一回:「各地でジャズの誕生」2017/05/26

今回で5年目を迎えるこの講座。

すっかり顔なじみの方、今回初参加の方等々、GIG店内は満員御礼となりました。

いよいよ一回目講座の始まりです。

今回用意された音源は26曲と実に多彩、柴田さんの語りにしっかりと耳をそば立てます。

 

JAZZはどうやって誕生したのか、黒人の悲しみ・嘆き・つぶやきの様なブルースと、混血のクリオールが西洋音楽から持ち込んだラグタイム。この二つの流れの後、今日の最後の方にビッグ・バンドが登場します。」

 

いくつか切り取ってご紹介します。

リンク先のYoutubeアドレスは、2017/05〜7時点で参考情報のひとつとして掲載しました。

掲載がいつ取り消されるかは全く予測出来ないので悪しからず。(若)

 

M1: The EntertainerScott Joplin(1902)

「ラグタイムの代表曲で譜面による西洋音楽的な音源です。

これは録音ではなく、ピアノ・ロールによる演奏。」 https://www.youtube.com/watch?v=0LOQ-AeWVpA

 

M: When the Saint Go Marching InBunk's Brass Band

「葬儀の行列が行進する時のブラスバンド。行きは厳かに、帰りは明るくこの曲が演奏されました。」

https://www.youtube.com/watch?v=7gRFuNb7jsw

 

M: Dixie Jass Band One StepOriginal Dixeland Jazz Band (ODJB)(1917)

 

「最初のジャズ録音、それは何と白人バンドでした。凄く上手い演奏です。

曲名にJASSと記載されているのは、誤植ではありません。

JAZZは黒人のスラングと言う理由で、あえて濁らないJASSと表記されましたが、その後直ぐにJAZZに統一されます。」

 https://www.youtube.com/watch?v=mW7rldvqN1w

 

M9: Carolina Shout/ James P. Johnson(1921)

ラグタイムからデューク・エリントンに影響を与えたのがこの曲。ラグタイムからジャズへ。」

https://www.youtube.com/watch?v=nSFGyipsNsg

 

M13: Dipper Mouth Blues/ King Oliver's Creole Jazz Band(1923)

ルイアームストロングの師匠が、キングオリバー。

その後の演奏が、そっくりになります。」

https://www.youtube.com/watch?v=BEF9QeHxrYw

 

M17: Oh, Johnny! Please Don't-Mom-Ma! Oliver Naylor & His Seven Aces(1924)

「おそらくデキシーランドの完成形と思われるのがこの曲。

ユニゾンの演奏が良い。」

 https://www.youtube.com/watch?v=Nw2XL_edCEI

 

M1: PianoflageFate Marable's Society Syncopators(1924)

「リバーボートの上で黒人が演奏していたこの曲。

アンサンブル重視のビッグバンド編成で演奏される様になります。

まだソロは登場しませんが、編曲を行うアレンジャーの存在が大きくなって来ます。」

https://www.youtube.com/watch?v=oUPu0r8koG4

  

 

M25: Kater Street Rag/Bennie Moten's Kansas City Orch.(1925)

「カウント・ベーシーの母体となるバンド、素晴らしい演奏です。まだ編曲は書かれておらず、順番の指定だけ。」

https://www.youtube.com/watch?v=456JCbDsVRg

 

第ニ回:「シカゴ時代」2017/06/09

「1920年代初頭、アメリカ南部から北のシカゴへの移入が甚だしく、ミュージシャンも演奏場所を求めてミシシッピ河を遡ります。

今日は、そのシカゴが舞台です。」

 用意された音源は、1923年から1930年迄の21曲。

 

M3:Heebie Jeebies /Louis Armstrong & His Hot Five(1926)

 

「世界初のスキャットが登場した曲です。」

https://www.youtube.com/watch?v=ksmGt2U-xTE

 

M4: The Stampede / Fletcher Henderson & His Orchestra(1926)

 

「この時点で、恐るべきオーケストレーション。

いよいよビッグバンド時代の幕開けと感じます。」

https://www.youtube.com/watch?v=Qi1Sms31amo&list=RDQi1Sms31amo

 

M8: Black and Tan Fantasy/ The Washingtonians (Duke Ellington & His Orch.)(1927)

 

「デユークエリントンの名作。踊るための音楽から観賞する為の音楽に変化した瞬間です。ラストは、当時の黒人の置かれた心境を表現しています。」

 

https://www.youtube.com/watch?v=GN3_c1OnA3s

 

M10:At the Jazz Band Ball Bix Beiderbecke & His Gang1927

 

「白人ジャズの巨人。感情と音色を押さえた演奏は、創造的で知性を感じられます。」

https://www.youtube.com/watch?v=ZxP0cf1bpTM

 

M15:Mississippi Mud /Frank Trunbauer & His Orchestra (1928)

 

白人バンド。黒人の泥臭い曲も、歌が入り洒落た感じに仕上げてます。」

https://www.youtube.com/watch?v=cUSTRFC0yqA

  

M18: West End Blues / Louis Armstrong & His Hot Five(1928)

 

「ルイアームストロングの最高傑作。Tp,cl,pの絡み方、何度聴いても非の打ち所がない名演です。」

https://www.youtube.com/watch?v=W232OsTAMo8

 

M19: Chinatown, My Chinatown/ Red Nichols & His Five Pennies(1929)

 

「映画五つの銅貨の主人公RedNichols

快適なテンポで、グレンミラー、ベニーグッドマンらがソロを取ります」

 

https://www.youtube.com/watch?v=ZhphfksE73U

 

 

「黒人バンド、白人バンド、どちらが良かったでしょうか。ほとんど違いが分らないかも知れません。次回は舞台をNYに移します。」

 

第三回:「カーネギーホール・コンサート」2017/06/24

「ニューヨークでSwingジャズが頂点に達したこの時代。タイムマシンがあれば飛んで行って聴いてみたい演奏ばかりです。」

 用意された音源は、1930年から1938年迄の21曲。

 

M2: Mood Indigo(Dreamy Blues)

/Duke Ellington & His Cotton Club Orchestra (&HisOrchestra)(1930)

「実に見事なハーモニーの演奏です」

https://www.youtube.com/watch?v=ojamSYmjEs0

 

 M: White Heat /Jimmie Lunceford &HisOrchestra (1934)

「この時代最も実力があり、評価が高かったのがこのバンド。

たたみ掛ける様な音の洪水です。」

https://www.youtube.com/watch?v=m4jdhS8n_rY

 

M: Love and Kisses/Chick Webb & His Orchestra (1935)

NYで誰にも負けないドラマーChick Webb

デビュー半年後のエラが、若々しいヴォーカルを担当しています。」

https://www.youtube.com/embed/_TbMFqsKc4c?rel=0

 

M1: Caravan /Barney Bigard & His Jazzopaters(1936)

「おなじみのこの曲を、エリントン楽団から離れて自分のコンボでレコーディングしたもの。」

https://www.youtube.com/watch?v=mKF2qlzdwlY

 

M1: One O’Clock Jump / Count Basie & His Orchestra(1937)

Count Basieの大ヒット曲、このバンドのテーマ曲となりました。

2人のTs、だがスタイルが異なります。」

https://www.youtube.com/watch?v=DUEH3VqpPDw

 

M21: Sing Sing Sing/ Benny Goodman & His Orchestra(1938)

 

「余りにも有名な、カーネギーホールコンサート。

マイク一本で録音されたが、3人のTpはもの凄く分厚い音がします。 

ドラム・ソロもピアノ・ソロも素晴らしい。

これこそが、ビッグバンド時代の頂点です。」

 

https://www.youtube.com/watch?v=9IlT2yeOJ0g

 

第四回:「黄金時代の終焉と新しいジャズの台頭」2017/07/08

「続々と登場するビッグ・バンド。しかし第二次大戦の不況の中、次第に淘汰されて行きます。」

 用意された音源は、1938年から1944年迄の22曲。

 

M6: In The Mood/ Glenn Miller & His Orchestra(1939)

「全米NO1を12週獲得したのがこの曲。原曲は3倍の長さだったのを、うまく編曲して大ヒットとなりました。

https://www.youtube.com/watch?v=eWmeJXaelNU

 

M10: Ko−Ko/Duke Ellington & His Famous Orchestra(&  His Orchestra)(1940)

「いわゆるプラントン=ウエブスター・バンド時代の黄金期、録音する曲の全てが名演奏となっています。」

https://www.youtube.com/watch?v=S7qmUQhX6qA

 

M12:I'll Never Smile Again/Tommy Dorsey & His Orchestra(1940)

まだ青臭い新人のシナトラが入ることで大ブレークしたのがこの曲。」

https://www.youtube.com/watch?v=il7DWoLySW8

  

 

M19:Flying Home/Lionel Hampton & His Orchestra(1942)

「カーネギーの後に独立したLionel Hampton。何種類もの楽器を操り、サービス精神が旺盛な演奏です。」

https://www.youtube.com/watch?v=Pm8zT35WqNM

 

M22: The Good Jelly BluesBilly Eckstine & his Orchestra(1944)

「Earl Hinesを引き継いだのがBilly Eckstine。このバンドには、次のモダンジャズの時代を率いる凄いメンバーが揃っています。」

 https://www.youtube.com/watch?v=D6OKspNVSZY

 

(参考)

講座の最後に流したビッグバンドの歴史的生画像はこちらです。

 

Duke Ellington "I've Got be a Rugcutter"1937

https://m.youtube.com/watch?v=2SThwSctW

 

Benny Goodman Orchestra "Sing, Sing, Sing" Gene Krupa - Drums, from "Hollywood Hotel" film (1937)

https://www.youtube.com/watch?v=3mJ4dpNal_k

 

In The Mood(1946)

https://www.youtube.com/watch?v=bR3K5uB-wMA

 

Duke Ellington - It don't mean a thing (1943)

https://www.youtube.com/watch?v=qDQpZT3GhDg